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INTERVIEW

久保智花さんの人物画像

来年から大手インフラ企業の営業マンとして働くことが決まっている、異色の画家、久保智花(くぼ・ちか)さん。彼女のキャンバスには、筆ではなく爪楊枝を駆使し、独特の油絵風のテクスチャを持つ動物画が生み出されています。美術教育は受けず、心理学を専攻した彼女の創作活動は、どのように始まり、どのような哲学に支えられているのでしょうか?彼女を突き動かす「衝動」と、作品への純粋な愛の哲学に迫ります。

  • 久保智花さん画像(セクション1)

    1.衝動が導いたアートの原点:独学という名の呼び声

    秋田:幼少期から絵を描くのが好きだったとのことですが、一度受験で離れ、美術を専門的に学んでいない久保さんが、なぜ再び「画家」の道を歩み始めたのでしょうか。その原点と、創作の衝動についてお聞かせください。

    大学に入り、YouTubeなどで絵を描いている人の姿を見たとき、一度封印していた「絵ってすごいな、やっぱりいいな」という想いが爆発的に蘇ったんです。そして「もう一度描こう」と描き始めたら、最初の作品から驚くほどうまく描けてしまった。それは、私にとって「美術を専門に学んでいないからこそできること」だったのかもしれません。周囲からの肯定的な反応も後押しとなり、この道に進むことを決めました。習ったこともなければ、美術部に入ったのも大学で絵を描き始めてからで、すべて独学です。私の創作の最も揺るぎない基準は、「自分自身が、心底『いい絵だ』と思えるかどうか」。この基準だけは、誰にも譲れません。

  • 久保智花さんの作品画像(セクション2)

    2.合理性の極致が生んだ「爪楊枝アート」の誕生

    秋田:あの独特な油絵風のテクスチャを、一般的な筆ではなく爪楊枝とペイントナイフで描かれていると伺いました。なぜ爪楊枝だったのでしょうか。その発想の裏側にある哲学をお聞かせください。

    理由は極めてシンプルです。筆の管理ができないんですよ。使った後に洗うのがめんどくさくて、すぐにカピカピになってしまう。ならば、使い捨てられる爪楊枝でいいじゃないか、という極めて合理的な発想から生まれました。パレットすら使わず、ガムテープの上に絵の具を出して、爪楊枝の先で「ちょん、ちょん、ちょん」と色を重ねていく。この「めんどくさがり」から生まれた手法が、偶然にも、他の誰も真似できない油絵のような重厚な質感と、私独自の色の散らばせ方を生み出してくれた。きっかけは、油絵を描くペイント聖矢さんの作品への憧れでした。あの重厚なスタイルを、独学で、そして最も異質な画材である爪楊枝で実現しようとした結果、今の表現に辿り着いたんです。

  • 久保智花さんの作品画像(セクション3)

    3.動物と黒に宿る真実:自己肯定のためのモチーフ選択

    秋田:描くモチーフは、ライオンやトラなど動物が中心ですね。この選択の理由は何でしょうか。また、作品に深みを与える黒い紙を使われるこだわりについてお聞かせください。

    率直に言って、人間が描けないんです。人間は私たちが見慣れているから、少しのデフォルメや変なところもすぐに見破られてしまう。でも、トラのような動物は、多少変なところがあっても「個体差」として成立する。だからこそ、自分の得意なものを徹底的に描く方が、作品のクオリティは上がる。これはプロ意識に基づいた選択です。

    そして、画材は常に黒い紙を使います。最初に何故か黒い紙を買って、その魅力に取り憑かれました。黒いキャンバスの上に色を乗せていくことで、絵の具の鮮やかさが引き立ち、光を反射する様が非常に美しい。この黒は、私の作品にとって、色を際立たせるための深遠な舞台なのです。

  • 久保智花さんの作品画像(セクション4)

    4.最大の観客は自分:愛を込めて作品を「お嫁に出す」

    秋田:制作における最も大切な哲学は何でしょうか。また、作品を「お嫁に出す」と表現されていますが、その深く愛情に満ちた哲学をお聞かせください。

    制作で最も大切にしている哲学は、「描けないと思ったらやめる」ことです。無理に描いて失敗したときのダメージが大きすぎるため、下描きの段階で「違う」と感じたら、5分で制作を中断します。「一番の観客は自分なので、自分が気に入る絵を描くこと」に、徹底的にこだわります。

    作品が人の手に渡ることは、私にとっては「お嫁に出す」という行為です。購入された方には、本当に愛してほしいと願っています。何かを感じてくれなくてもいい、ただそこに存在することを肯定してあげてほしい。購入者の家の写真に私の絵が写っているのを見つけると、「あ、いるじゃん!元気にしてるじゃん!」と、まるで我が子のように嬉しくなります。私は、自分の衝動を形にした「命」を、愛してくれる人の元へ送り出しているのです。

  • 久保智花さんの人物画像(セクション5)

    5.衝動こそが原動力:人生を傑作に変える挑戦のメッセージ

    秋田:ご自身の衝動性を原動力に、約4~5年で個展開催まで実現されています。これから何かを始めようとする方へ、熱いメッセージをお願いします。

    挑戦して得られた経験は、全てが人生の財産になります。それはアートだけでなく、就職活動や人間関係、あらゆる場所で役立つ。私自身、ずっと「やりたいな」と口にしていた個展を、「あれ?やらないとできないじゃん」と気づいた衝動で実現させました。

    私の行動力の根源には、強い衝動性があります。それは時に自分でも制御できないエネルギーであり、急に大きな買い物や旅行に出かけることもありますが、そのエネルギーがあるからこそ、「人生の一部になる」ような価値ある挑戦を躊躇せずに実行できる。もしあなたの中に「やりたい」という衝動があるなら、それを抑え込まないでください。人生は一度きり。衝動に従い、自分の人生を傑作にする価値は、絶対にあるのです。

  • ARTWORKS

    爪楊枝が描く、唯一無二の世界

    久保智花さんのアート作品1
    久保智花さんのアート作品2
    久保智花さんのアート作品3
    久保智花さんのアート作品4
  • 久保智花さんの作品画像(エピローグ前)
筆者 秋田信明 画像

あとがき 私は久保さんの「筆の管理がめんどくさいから爪楊枝」という、常識破りな発想から生まれるアート哲学に、深く感銘を受けました。自分の「好き」と「合理性」を極限まで追求した結果、唯一無二の表現方法に辿り着く。そして、作品を「お嫁に出す」という、作品への深い愛情。彼女の描く動物たちは、その衝動と哲学の結晶であり、見る人に「自分の人生の一部になる」ような挑戦を促してくれます。


筆者:秋田 信明 Nobuaki Akita 株式会社Wakku

SI業界での3年間、料理人としての5年間、そしてWeb業界での20年の経験を経て、2025年に株式会社Wakkuを創業。確定的な成果に固執せず、常に改善(KAIZEN)を重ねる。
本システムの設計・開発を担当。クライアントごとの状況に応じた最適な戦略の提案と実行、Webサイト成功のための要素の本質を理解、目標達成への貢献をし続ける。

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