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鍼灸師 野村大輔さん 鍼灸師 野村大輔さん

Interview — #15

お笑いを辞めたんじゃない。
人を元気にする方法が変わっただけ。

鍼灸師 野村 大輔

Acupuncturist — Daisuke Nomura

About this story

池袋の鍼灸整骨院には、施術だけでなく、言葉や笑顔まで届けながら患者さんと向き合う鍼灸師がいます。かつて松竹芸能で、お笑いコンビ「だいなお」として10年間、舞台で人を笑わせることに向き合い続けた野村大輔さんです。現在はフリーランスとして治療の現場に立ちながら、新たな事業でも成果を上げ続ける野村さんに、形を変えて生き続ける「人を元気にする情熱」のストーリーを伺いました。

野村大輔さん インタビュー01
01

大学の空き教室で人生が変わった、
衝撃の読み合わせ

国語の教員を目指して大学へ進学された野村さんが、なぜお笑いの道へ飛び込むことになったのですか。

すべての始まりは、同じ文学部で出会った相方でした。もともとは高校の国語の先生がやってくれる自然なアイスブレイクに感動して、自分も楽しい時間を作れる教師を目指して大学へ進んだんです。偶然のような形で進学した大学でしたが、そこで高校生の時から漫才をやっていた本格派の相方に出会いました。大学の空き教室で、これ台本あるからと初めて読み合わせをした時は、サークルや授業をやめて2年くれという相方の覚悟の重さに圧倒されてしまい、手応えも分からず一度は断ったんです。ですがその後、彼が吉本のオーディションに受かって出演したライブを見に行って、頭を殴られたような衝撃を受けました。昨日まで僕がパッとしないなと思っていたあの台本が、言い方や間、表現の仕方一つで、会場中を割れんばかりの大爆笑に変えていたんです。表現の奥深さに一瞬で魅了されてしまい、翌日には自分から、やっぱり一緒にやろう、と声をかけていました。本当に都合の良い人間ですが、気づけば教職の道から離れ、お笑いの世界へ飛び込んでいました。

02

アマゾン川の過酷なロケで学んだ、
チャンスを掴む貪欲さ

芸人になって3年目で『世界の果てまでイッテQ!』のレギュラーを掴み、海外ロケに行かれていたそうですね。

本当に運が良くて、チャンスをいただけたんです。アマゾン川に行く過酷なロケのオーディションがあり、何十組もの芸人の中から僕たちが合格をいただきました。そこから2年間はひたすら海外を飛び回る日々で、日本から片道48時間かけて移動し、現地では常に体を張り続けました。決して簡単な環境ではありませんでしたが、未知の世界へ飛び込めるワクワクの方が大きかったですね。この時に、普通の生活をしていたら絶対に選択肢にすら入らないような未知の環境へ飛び込む度胸と、チャンスを自ら掴みに行く行動力が体の中に染みついたのだと思います。

野村大輔さん インタビュー02
表現の奥深さに一瞬で魅了されて、翌日には自分から声をかけていた。
野村大輔さん インタビュー03
03

ビデオ再々再審査の果てに散った、
10年目の大勝負

その後、コンビ結成10年目の年に訪れた大きな転機について詳しく教えてください。

芸人としてチャンスはいただきつつも、売れ続けるところまでは行けず、10年目にこれで結果が出なかったら道を考えようと相方と不退転の覚悟を決めました。作家さんが大絶賛してくれる漫才が完成し、本番の予選でも爆発的な手応えがあったんです。ですが、結果は敗退でした。後に聞いた話では、最後の50組枠のうち49組まで決まり、残りの1枠を巡る審査員たちのビデオ再々審査で、残り5組まで絞られてその中にだいなおも残っていたのですが、最後の審査で落ちてしまったんです。本当にあと一歩のところで届かなかったのですが、相方もこれでいけたら決勝にいけたと漏らすほど力を出し切ったからこそ、不仲ではなく、お互いの人生を次のステージへ進めるために解散を選べました

04

次の道へ進む覚悟をくれた、
先輩芸人たちの一言

芸人を引退して新しい業界へ進む際、背中を押してくれた言葉があったそうですね。

事務所を辞める時に、お世話になった先輩方へ直接ご挨拶をしていきました。ますだおかだの岡田さんは、おお、そうかそうか、絶対ええと思うで、といつもの軽快さで背中を押してくれましたし、安田大サーカスの団長さんは、そうか、尊敬させてあげられなかったんやな、ごめんな、と本気で責任を感じて悔しがってくれました。そんな温かい絆を感じる中で、アメリカザリガニの平井さんに電話をかけたんです。すると、いつもの低いトーンで、大、一つだけ言っとくわ、お笑いって辞めるとかないんだよね、もうお笑いっていつまでも趣味なのよ、と言ってくれたんです。その言葉が胸に深く刺さりました。きっぱり辞めて背を向けるのではなく、人を元気にするという本質はどこに行っても地続きなんだと思えたことで、次の道へ進む覚悟が完全に決まりました。

野村大輔さん インタビュー04
お笑いって辞めるとかない。人を元気にする本質は、どこに行っても地続き。
野村大輔さん インタビュー05
05

こだわりがないからこそ徹底できる、
究極の患者さんファースト

未経験から鍼灸師の国家資格を取得されますが、治療家としての出発はいかがでしたか。

実は、芸人時代に六本木のバーでアルバイトをしていた時の店長が、現在の整骨院の会社の社長でした。当時はお店が1年で閉店して疎遠になっていたのですが、バイクの交通事故で肋骨をやられた時に久しぶりに連絡をして再会したんです。その後、僕がバイトを探している時にうちで手伝いなよと呼んでくれて、整骨院業界で働くなら柔道整復師かなと思い、その願書を出しに行くまさに直前のタイミングでした。社長から、いま会社で鍼灸師が少ないから、大は鍼灸に行ったら、と言われて、あ、はい、とそのまま進んだんです。学校に入ると周りは親が鍼灸師だったり、スポーツの怪我がきっかけだったりする人ばかりで、僕は社長の一言だけでした。でも、特定の技術に固執しない柔軟さが、後に治療家としての最大の強みになりました。自分が良いと思う治療だけを追求するのではないため、目の前の患者さんが今何を求めているのかを一番に考える、芸人時代から培われていたお客様ファーストの視点が最初から活きていたんです。

06

池袋の院を前年比200%に導いた、
新たな挑戦の始まり

今年3月からは会社を辞めてフリーランスとなり、さらに活動の幅を広げられていますね。

異業種の方々や素晴らしい経営者の方々と出会う中で、自分の価値観が大きくアップデートされました。そこで学んだマインドを治療院の現場に持ち帰って、スタッフ教育や経営管理、患者さん対応を徹底的に変えたんです。物理的な部分でも、自分が好きな観葉植物を院内にいっぱい置いて居心地の良いトーンに変えていったところ、以前から通っていた患者さんたちから、最近院の雰囲気がすごくいいね、と何人にも言ってもらえるようになりました。そうやってさまざまな課題がある中で、僕が担当する池袋の院が前年比200%の売上を達成したんです。点と点だった僕の経験が、すべて線に繋がった瞬間でした。実際の施術の現場でも、数年前にミルクボーイさんの漫才が流行った時、うつ伏せで施術を受けていた患者さんが、私の彼が聴いていた音楽のグループ名が思い出せない、とおっしゃったことがあったんです。すかさず「どんな特徴か教えて、解決してあげるから」と引き取って掛け合いを始めました。「みんな格好よかった」「それなら嵐ちゃうか」「バンドだった」「ほな嵐と違うか」結局、答えが出る前に施術時間が来てしまいましたが、院内は笑いに包まれました。これからは時間の使い方を自分でコントロールしながら、自分に関わってくれた人たちが少しでも出会えてよかったと思えるような、誰かを応援できる環境をたくさん作っていきます。

野村大輔さん インタビュー06
野村大輔さん インタビュー07
07

格闘家のご縁から広がった、
人とのつながりが生む未来への約束

野村さんにとって、これから先の未来に向けた一番の想いをお聞かせください。

振り返ると、僕の人生はいつも人との出会いだけで動いています。少し前に、お世話になっていた格闘家の方とのご縁から野方でのホームパーティーに呼んでいただき、そこで有名な料理研究家の方と繋がりました。その出会いからYouTubeのダイエット企画にお声がけいただき、2週間で7キロ、最終的に14キロも痩せてトークライブまでやらせてもらったんです。今取り組んでいる事業もそうですが、最初は周囲から理解されにくい取り組みであっても、そこにいる人たちの熱い背景を聞くことで、いつも大切なことを教えてもらっています。お笑いに関しても、元相方から声をかけてもらい、趣味のユニットとして再び舞台に立つ機会をいただくなど、すべては人の縁で繋がっています。これからも人とのつながりを何より大切にしながら、親孝行をすること。そして、お笑いを辞めたわけではなく、人を元気にする方法が変わっただけ。これからもその軸は変えずに、自分らしい形で挑戦を続けていきたいです。

Message

お笑いを辞めたわけじゃない。
人を元気にする方法が、変わっただけ。

これからの野村さんにとって、一番大切にしたいことは何でしょうか。

何よりも、形を変えて生き続ける「人を元気にする情熱」という自分自身の軸です。お笑いを辞めるのではなく、その在り方が変わっただけ。平井さんのその一言が、今の私の原動力になっています。

池袋の院で前年比200%を達成し、施術中の掛け合いで院内を笑いに包む。かつて舞台で向き合ってきた経験がすべて線に繋がった今、目指すのは、関わってくれた人たちが「出会えてよかった」と思える環境をたくさん作ることです。これからも自分らしい形で、誰かを応援できる挑戦を続けていきます。

野村大輔さん 野村大輔さん

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店舗情報

池袋ハート整骨院

店舗名:池袋ハート整骨院

住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋3-11-7-101

電話番号:03-6914-3859

アクセス:JR池袋駅東口より徒歩10分

営業時間:月・火・木・金 10:00~20:30/土 9:00~19:00/日 9:00~14:00

定休日:水曜・祝日

※最新の営業情報については、ご来店前に店舗へご確認ください。

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Afterword

野村さんとの対話を通じて、いちばん強く残ったのは「お笑いを辞めたわけではなく、人を元気にする方法が変わっただけ」という言葉でした。教職を目指して大学へ進学したはずが、空き教室での読み合わせ一つで人生の方向が変わる。アマゾン川のロケ、10年目の大勝負、平井さんの一言——すべてが点として存在していた経験が、鍼灸師としての現場で初めて線として繋がった瞬間があったのだと語る姿に、説得力がありました。

特定の技術に固執せず、目の前の患者さんが求めているものを最優先する。芸人時代のお客様ファーストが、治療家としての強みになっている。施術中の掛け合いで院内を笑いに包み、前年比200%の成果を出す。舞台の上でも施術台の横でも、野村さんが届けているのは同じ「元気」なのかもしれません。

格闘家とのご縁からYouTube企画へ、元相方の作家さんから再び舞台へ。人とのつながりだけで人生が動いてきた野村さんのこれからも、その軸は変わらないはずです。

筆者画像

秋田 信明 Nobuaki Akita

Wakku Inc. CEO|wakkul

SI・Web業界での28年の実務経験を経て、現在はセルフプロモーションサービス wakkul(ワックル) の企画・設計・運営を手がける。モデル・職人・料理人・エンジニアなど、あらゆる分野で技と物語を持つ人が自分らしく世界へ発信できる場づくりをテーマに、戦略と技術の両面から取り組んでいる。

Profile

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元お笑いコンビ「だいなお」から鍼灸師へ。
野村大輔さんのすべてがここに。

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