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俳優 うさみみずほさん 俳優 うさみみずほさん

Interview — #18

『若いから、女だから』って言葉に折れるのはやめた。地道に、コツコツ、泥臭く生きるだけでした。

俳優 うさみ みずほ

Actor — Mizuhousa Usami

About this story

表現の世界に身を置きながら、どこかホッとするような温かい雰囲気をまとう俳優、うさみみずほ。しかし、その柔らかな笑顔の裏には、幾度もの挫折や理不尽な逆境をくぐり抜けてきた、泥臭さと粘り強さが隠されていました。最初のオーディション、陸上部での過酷な日々、上京前後の大きな紆余曲折。すべての経験を表現のインスピレーションに変えて突き進む彼女の、等身大の情熱に迫ります。

うさみみずほさん インタビュー01
01

始まりは、美術室での無邪気なきっかけ

俳優という表現の道を志した、本当の最初のきっかけは何だったのでしょうか。

きっかけは中学生の時の美術の授業中でした。友達が「優勝したら4人でテーマパークのチケットがもらえるオーディションがあるらしいよ」って、私に内緒で勝手に応募しちゃったんです。当時の私たちはまだ無邪気で、「大人は怖いから、応募したなら行かなきゃダメだよ」なんて言いながら他県の会場へ向かいました。でも、いざ行ってみたら周りの熱量がすごくて。みんな本気で、ガチで挑んでいるんです。チケット目当ての軽い気持ちで来てしまった自分が、なんだか急にすごく恥ずかしくなってしまって。私は元々かなりの負けず嫌いなので、「やるならちゃんとやりたい、負けたくない」って、その場で火がついたんです。そこからはもう、自分のできることを地道にコツコツ頑張ろう、という気持ちでしたね。

02

男子に混ざって、喉から血の味がするまで走った日々

学生時代は陸上部でかなりハードに活動されていたそうですね。今の粘り強さはそこからきているのでしょうか。

本当に地道で過酷な日々でした。私は短距離の400メートルを走っていたのですが、この種目は走り終わると本当に喉から血の味がするんです。陸上部の人ならきっと分かってくれると思うんですけど、走る前は体が勝手に恐怖を感じて、軽くなろうとお手洗いに走るくらい極限の状態でした。先生からは「女子同士で走ると甘えが出るから、お前は男子と走れ」と言われて、いつも男子の集団の一番後ろを必死に追いかけていました。高校3年の最後の大会では、ラスト100メートルで一瞬だけ「勝てる、いけるわ」と油断してしまい、強豪校の後輩に最後の最後で抜かれてしまって。あの時の悔しさは今でも鮮明です。でも、あの時に培った諦めない泥臭さが、今の私のマインドの土台になっています。どんなにきつい状況でも、私にはあの経験があるから大丈夫だと思えるんです。

うさみみずほさん インタビュー02
あの時に培った諦めない泥臭さが、今の私のマインドの土台になっています。
うさみみずほさん インタビュー03
03

地元の養成所時代、そして覚悟の上京

その後、本格的にお芝居の道へ進むまでにはどのような経緯があったのですか。

元々は英語が好きで、大学で教員免許を取って先生になろうと思っていたんです。ただ、在学中にひどいストーカー被害にあってしまい、怖すぎて1年間引きこもる生活になって、最終的には大学を離れることになりました。本当に何もできなくて、1週間くらいお風呂にも入れないくらい心がボロボロだったんです。その後、20歳になって自分の責任で動けるようになってから再挑戦を決意して、美容部員として働きながら地元の養成所でお芝居の勉強を始めました。でも、さあこれから現場へという時に感染症の流行が重なってしまって。1ヶ月必死に稽古した舞台が次々と中止になってしまいました。「仕事の母数が多い東京に行こう」と決意して、二十代前半の頃に上京したんです。あの時は、自分の力でなんとか這い上がらなきゃっていう必死な思いだけでしたね。

04

理不尽な言葉をエネルギーに変えた、東京の洗礼

かなりの逆境を乗り越えての上京だったのですね。東京での活動はいかがでしたか。

東京に来て初めて立った舞台の現場は、昔ながらの厳しさが色濃く残る場所で、本当に強烈な洗礼を受けました。実績のない新人だったこともあって、現場の厳しい空気に圧倒される日々でしたね。他にも上京して間もない頃には、環境の急激な変化や人間関係の難しさに直面したり、「女だから」「若いから」という理由で、理不尽な言葉を投げかけられることも多かったです。先輩から言われたその言葉がどうしても納得いかなくて、すごく悔しかった。でも、そこで折れるんじゃなくて、「絶対にいつか見返してやろう」って、すべてを前に進むためのエネルギーに変えていきました。私、人を笑わせるのがとにかく好きなんです。現実では絶対にできない悪い役や死ぬ役を思いっきり演じて、周りに認められたいという純粋な気持ちが、ずっと原動力としてありました。

うさみみずほさん インタビュー04
「絶対にいつか見返してやろう」すべてを、前に進むエネルギーに変えていきました。
うさみみずほさん インタビュー05
05

遠回りで見つけた、人と本気で繋がる喜び

途中で2年ほどマッサージのセラピストをされていた時期もありますね。その経験はどうお芝居に繋がっていますか。

25歳の時に旅先でオイルマッサージを受けて感動して、東京でこういう仕事がしたいと思って探したんです。翌日にはサロンの人事の方とお会いして働くことになりました。一度お芝居はお休みしたのですが、セラピストの仕事は本当に面白かったです。実は私、幼稚園で男の子に腕を思いっきり噛まれたり、小学校や中学校でからかわれたりした経験から、ずっと深い人見知りを抱えていたんです。それに加えて、昔あるお風呂用洗剤のテレビコマーシャルを見て「こんなに汚いの!?」とショックを受けたことがきっかけで、一時期はかなりの潔癖症でもありました。でも、お芝居やこのセラピストの仕事を通じて「人と本気でコミュニケーションする楽しさ」を体験して、今ではどちらもすっかり克服できました。マッサージ目的ではなく、私と話しにきてリラックスしてくれるお客様との出会いもあって、本当にやってよかったです。

06

逆境のあとに訪れた、天国のような出会い

サロンを辞めてお芝居に再挑戦されるなかで、色々と試行錯誤や大きな出会いがあったそうですね。

サロンを辞めて活動を再開したものの、最初は周囲とのサポート体制や活動方針がなかなか噛み合わず、スケジュール管理やコミュニケーションのすれ違いに悩む時期が続いていたんです。2ヶ月ほど思うように動けない状態だったのですが、今年の6月下旬に、新しくお仕事を繋いでくださる代理店の方と初めて電話でお話しする機会がありました。そうしたら、私のことをすぐに信頼してくださって、翌日にはもう仕事を取ってきてくれたんです。後日、初めてカフェで直接お会いして私の泥臭い過去を話した時、「見た目と雰囲気からは想像できないくらい泥臭さがあって、すごいですね。これから売れていった過程で、後の世代の子たちに『現場であの人を見ておいた方がいいよ』と言える人になってくれると思っているから」って言ってくださって、ティッシュを渡された瞬間に涙が溢れてしまいました。本当に、暗闇から光の中に抜け出せたような気持ちです。

うさみみずほさん インタビュー06
本当に、暗闇から光の中に抜け出せたような気持ちです。
うさみみずほさん インタビュー07
07

すべての記憶が、お芝居を繊細にするインスピレーション

宇佐美さんにとって、自分を「表現すること」とは一体何なのでしょうか。

私にとって表現とは、自分の人生のすべてを肯定して、誰かと深く繋がるための手段なんだと思います。これまで引きこもりも、いじめも、本当にいろいろな理不尽な逆境を経験してきました。普通なら思い出したくないような傷ですけど、役者としては「あの時のリアルな痛みや感情を、そのままお芝居に活かせる」って思えるんです。経験したことすべてが、役を生きるための大切な引き出しになってくれる。最近、過酷な現場で闘っている医療関係者の方々とお話しする機会も多いのですが、彼らが語る忘れられない経験の話を聞いている時も、すごく感じる部分があって。それらを真摯に受け止めるたびに、これもいつか繊細にお芝居に活かせる、全部私のインスピレーションになるんだ、と深く受け止めています。傷つくことを恐れずに、自分の全部を表現の糧に変えて、誰かの心に届けるのが、私の進む道なんだと思っています。

Message

これからも、地道に、一歩ずつ

カッコつけずに等身大の表現を続ける宇佐美さんですが、これからの未来に向けて、いまどのような想いを抱いていますか。

「若いから、女だから」って言葉に、昔はすごく悔しい思いをしました。でも、だからこそ今の私がいるんです。これからも地道に、コツコツ、泥臭く、私だけの道を生き抜いてみせます。いつか主演級へと這い上がって、世界的な大手の動画配信サービスが手がける大作や、大好きなビールのテレビコマーシャルに出たい。そして、今私を支えてくれている方に美味しい焼肉をご馳走して、「あの時はこうだったね」って一緒に笑い合いたいんです。将来的には結婚相談所を作りたいなという夢も大切にしながら、今日も必死にノートに未来を描いています。

うさみみずほさん

Profile

うさみみずほ

俳優

出身

愛知県出身
フィリピンハーフ

活動

芝居(役者)
ライブ配信
SHOWROOM、ミクチャなど

趣味・好きなもの

ミステリー、ゲーム、温泉、サウナ、クラフトビール、日本酒、オカメインコと同居中

将来の夢

演技 — お芝居への強い情熱
ビジネス — エステ、マッサージ、サウナ、シーシャ(水たばこ)の店舗経営

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Afterword

美術室での無邪気なきっかけから俳優の道へ。陸上部で培った泥臭さ、ストーカー被害と引きこもりを経て20歳から再挑戦し上京、「若いから、女だから」という言葉をエネルギーに変えてきたうさみみずほさん。セラピストとして人と向き合い、サロンを辞めて再スタートした2025年、代理店との出会いで暗闇から光へ。すべての経験を表現の糧に変え、誰かの心に届ける——それが彼女の進む道です。

筆者画像

秋田 信明 Nobuaki Akita

Wakku Inc. CEO|wakkul

SI・Web業界での28年の実務経験を経て、現在はセルフプロモーションサービス wakkul(ワックル) の企画・設計・運営を手がける。モデル・職人・料理人・エンジニアなど、あらゆる分野で技と物語を持つ人が自分らしく世界へ発信できる場づくりをテーマに、戦略と技術の両面から取り組んでいる。

Profile

うさみみずほさんの
プロフィールを見る

俳優・うさみみずほさんの活動情報と公式SNSはこちらから。

活動名:うさみみずほ(うさみ みずほ)

職業:俳優

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