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佐藤瑤子さん 佐藤瑤子さん

Interview — #24

正解のない言葉を探求する。誰かの心を、そっと推すために

表現者 佐藤 瑤子

Lyricist & Performer — Yoko Sato

About this story

作詞、舞台演劇、ラジオパーソナリティ、そして沖縄の言葉であるウチナーグチの民話朗読。多彩なフィールドで活動する表現者、佐藤瑤子さんの根底には、いつも「言葉」への深い探求心があります。心と体を休めた10年間や、お母様との別れという大きな転機を経て、彼女はどのようにして現在の自由な表現を手に入れたのでしょうか。言葉というパズルを解き明かし、誰かの心をそっと応援し続ける、その情熱のストーリーに迫ります。

佐藤瑤子さん インタビュー01
01

原点は、言葉を音に乗せるパズル

まずは、表現の世界に足を踏み入れた最初のきっかけを教えてください。

中学生の時、読んだ小説の感想を歌の歌詞のように書いてみたんです。それを親がすごく褒めてくれて、作詞の通信教育を勧めてくれました。当時はカセットテープで送られてくるメロディーに言葉をつける添削講座でした。最初は自分の体験などを書いていたんですが、大人の方々から、皆に共感できるものじゃないと伝わらないよと教わりました。そこから、文字数や音に乗る言葉を選び、アーティストのイメージに合わせてストーリーを作っていく面白さにのめり込んでいったんです。与えられた条件の中で言葉を組み合わせていく、まるでパズルを解くような感覚でした。

02

声から身体へ。表現の幅を広げた10代

そこからどのようにして、お芝居の世界へと広がっていったのでしょうか。

作詞のように書く作業も大好きだったんですが、16歳になった頃、自分自身の体や声を使って発信してみたいという思いが湧いてきたんです。ただ、いきなり人前に出る勇気はなくて、最初は「声だけの勉強なら」と声優の養成所に入りました。 今思えば、声だけで表現する方がよっぽど難しいんですけど、当時はそんなこともわからずに飛び込んでしまって。案の定、そこの先生に「身体を動かした芝居ができなければ、声だけで表現することなんてできませんよ」と言われたんです。 そこで、18歳の時に茨城県で活動している社会人劇団に入りました。 初舞台では声は誰よりも通るのに感情が乗っていないと言われ、そこから先輩たちのお芝居を参考に学びながら、自分なりの感情の出し方を一つひとつ学んでいきました。

佐藤瑤子さん インタビュー02
与えられた条件の中で言葉を組み合わせていく、まるでパズルを解くような感覚でした。
佐藤瑤子さん インタビュー03
03

言葉を解き明かす、探求心のルーツ

佐藤さんの表現の根底には、言葉の意味を深く考える姿勢があるように感じます。

私の父は数学者なんです。小さい頃から、その概念はどういうことか、厳密な正しさを問われる環境で育ちました。その影響か、作詞をする時も、このメロディーにはこの言葉よりもあっちの方が合うんじゃないかと、類語を山のように探してしまうんです。お芝居の台本をもらっても、なぜこの人はこの言葉を発したのか、その意図や立場を深く想像しないとセリフが覚えられません。言葉の背景にあるものを解き明かしたくなる探求心は、まるで研究をしているような感覚です。父が数式を解き明かすように、私は表現の中で言葉のパズルを探求しているのだと気づきました。

04

海を越えた衝動と、表現の力を蓄えたお休み期間

20代での韓国への語学留学や、その後の休養期間について教えていただけますか。

ある韓国映画を見た時、俳優さんの演技に衝撃を受けて、この人の演技を字幕なしで理解できるようになりたいと強く思ったんです。それで20代半ばで韓国へ語学留学に行きました。ただ、帰国後に人間関係のトラブルなどが重なり、心と体のバランスを大きく崩してしまいました。それから10年近く、長くお休みをいただく時期がありました。でも、どんなに体調が悪くても、何かを発信したいという気持ちは消えませんでした。動けない間もブログを書いたり朗読を学んだりして、少しずつ表現の力を蓄えていたんです。

佐藤瑤子さん インタビュー04
父が数式を解き明かすように、私は表現の中で言葉のパズルを探求している。
佐藤瑤子さん インタビュー05
05

母との別れ、そして毎晩続けた2年半の音声配信

長いお休みを経て、再び表舞台に戻ろうと思えた転機は何だったのでしょうか。

母が亡くなったことでした。とてつもない喪失感でしたが、ここで立ち止まってはいけない、自分のためにも今こそ表現をやり直そうと強く思ったんです。まずは10年前に参加したことのある演出家の方にお願いして、半年後に再び舞台に立ちました。それと同時に、音声配信アプリで語ることも始めたんです。母が亡くなってから2年半ぐらい、12分の音声を毎晩収録してはアップし続けました。ただ話すだけでなく、ちゃんと面白くなっているか聞き直して検証して。タイトルもこだわって、 反応がいい時、 悪い時を比べてより楽しんでもらうにはどうしたらいいかと、 探求しつづけていました。

06

絶滅の危機にある言葉と、ラジオパーソナリティへの挑戦

現在は2つのラジオ番組を担当し、沖縄の言葉「ウチナーグチ」の朗読もされていますね。

母を亡くして間もない頃、偶然耳にしたウチナーグチのラジオ番組に深く癒されたのがきっかけでした。絶滅危機言語でもあるその言葉を学び始めたご縁で、沖縄のFM局に出演させていただいたんです。その時に「東京からでもできますよ」 とお誘いいただき、 一週間以内に企画書を出して番組をスタートさせました。東京の番組も、 歌手でありボイストレーナーとしてご指導いただいている先輩から 「月に一度の50分生放送番組をやってみないか」 とお声がけいただき、 未知な世界に一瞬躊躇いつつも 「このチャンスに乗らない手はない」 と思って。 思い切ってお受けしました。それぞれの番組の特性を活かして、 ぎのわんシティFMではウチナーグチでの民話朗読を発信したり、 鳥越アズーリFMでは様々なゲストさんとの交流によって生放送ならではのトークバラエティの面白さを発信しています。

佐藤瑤子さん インタビュー06
東京に行って一軒ずつピンポンしたら会えるかな
佐藤瑤子さん インタビュー07
07

一軒ずつピンポンするという発想と、殻を破った今の自由

未経験のラジオにも飛び込める行動力や情熱は、昔からお持ちだったんですか?

そうかもしれません。3、4歳の頃、テレビで見た松田聖子さんに会いたくて「東京に行って一軒ずつピンポンしたら会えるかな」と言っていたそうです。中学生の頃は好きなタレントさんに手紙を書き続けて、顔を覚えてもらったこともありました。好きだと思ったら伝えたい、応援したいという根っこはずっと変わりません。誰かを応援するという 「伝えたい」 も、 自らの発信で 「届けたい、 伝えたい」 も、 自分にとっては自然な表現方法として通じるものがあるんです。年齢を重ねて、人からどう見られるかというプレッシャーからも解放されました。去年は初めてコント公演に出演し、自ら買ってきたハトの被り物をかぶって舞台に出たんです。20代の頃の私なら絶対にできなかったことですね。10年のブランクはありましたが、絶妙なタイミングでこの世界に戻ってこられたんだと、今は年齢を重ねたことに感謝しています。

Message

これからも、変わらずに

これから先、言葉と表現を通じて、どんな景色を作っていきたいですか。

表現の世界には、数学のような100パーセントの正解はありません。でも、私が探求して発した言葉が誰かの心にすっと届き、昔を思い出して泣けたり、心が少しだけ軽くなったりする奇跡のような瞬間があります。私にとって「言葉」は、神様からもらった大切なアイテムなんです。私自身が好きな人を応援して救われてきたように、今度は私がこのアイテムを使って、言葉を受け取ってくれるお客さんやリスナーの心を応援したい。私は自らの表現活動を、あなたへ向けた言葉の「推し活」だと思っているんです。来年は初めての二人芝居で、死刑囚という難しい役にも挑戦します。言葉にここまでこだわりがある私ですが、 お芝居ではまた違った 「身体」 「表情」 「沈黙」 など様々なものが重なり合い、 劇場という場所でお客様と一緒に空間を作ってゆく。 そこには言葉の先にある表現があります。言葉からその先へ、 まだまだ私の探求は終わりません。これからも、正解のない言葉のパズルを探求しながら、誰かの心をそっと推すために、表現者として舞台に、マイクの前に立ち続けたいです。そしていつか、客席やラジオの前のあなたにも、その温かい言葉の力を直接届けられたらと思っています。

Original Song

君と生きる道

佐藤瑤子さん作詞・歌唱のオリジナルソング。

YouTube でフルバージョンをお聴きください

佐藤瑤子さん

Profile

佐藤 瑤子

Lyricist / Performer / Radio Personality

基本情報

出身:茨城県
生年月日:1977年7月13日
趣味・特技:写真を撮ること、韓国語上級

主な活動

作詞・舞台・ラジオパーソナリティ
鳥越アズーリFM「佐藤瑤子のハピフラ☆ナイト」
ぎのわんシティFM「およいで来るよ!よーこさん」
ウチナーグチの民話朗読

経歴・実績
TV
フジテレビ「トリビアの泉」
フジテレビ「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」
TBS「ドーナツトーク」
テレビ東京「JAPANプロジェクト」
ラジオ
鳥越アズーリFM「佐藤瑤子のハピフラ☆ナイト」月一メインMC(2025年2月〜)
ぎのわんシティFM「およいで来るよ!よーこさん」月一メインMC(2025年4月〜)
神宮前ラジオ「FREEDOM〜ことばを編むRadio〜」メインパーソナリティ(2024年7月〜2025年1月)
かわさきFM「ろうどく探検隊!」準レギュラー(2014年〜2015年)ほか
舞台・朗読
劇団創造市場、ライデンシャフト、ミサキカクほか
沖縄語民話朗読、コント公演「一丁」
声優
渋谷ラジオTOKYOラジオドラマ「時には未来の話を」姉役
ボイスドラマCD「むかば図書館 第22巻」『ワタリガラスの冬日和』領主役
作詞
三浦留美「永遠の未来」
榎本梨沙「風華」
高梨由美「いのちの翼」
佐藤瑤子「君と生きる道」
モットー

正解のない言葉のパズルを探求しながら、誰かの心をそっと推す。

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Afterword

言葉の背景を探求し、一つひとつの音に感情を乗せていく。佐藤さんのお話を伺って見えてきたのは、底知れぬ探求心と、他者への深い愛情でした。長いお休みや大切な人との別れすらも糧にして、舞台へ、そしてマイクの前へと戻ってきた彼女。どんな表現にも軽やかに飛び込んでいくその姿は、「表現者」という言葉が誰よりも似合います。正解のない言葉を探求し、誰かの心をそっと推す。その温かい声は、これからも形を変えながら、多くの人の心に届き続けるはずです。

筆者画像

秋田 信明 Nobuaki Akita

Wakku Inc. CEO|wakkul

SI・Web業界での28年の実務経験を経て、現在はセルフプロモーションサービス wakkul(ワックル) の企画・設計・運営を手がける。モデル・職人・料理人・エンジニアなど、あらゆる分野で技と物語を持つ人が自分らしく世界へ発信できる場づくりをテーマに、戦略と技術の両面から取り組んでいる。

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