wakkul

カート種別

イベント 商品
書道家 優(池田優子)さん 書道家 優(池田優子)さん

Interview — #20

逆境は、逃げ場じゃない。私を愛するための、たったひとつの言葉だった。

書道家・優(池田 優子)

Calligrapher — YU (Yuko Ikeda)

About this story

かつて誰かのために自分をすり減らし、過酷な状況のなかで生きる意味を見失いかけていた准看護師がいました。しかし、人生最大の苦難を経験したとき、彼女のなかに眠っていた本当の熱い思いが目覚めたんです。書道家・優(池田優子)さんが生み出す『逆境』という二文字には、どん底から這い上がった魂の叫びと、自分を心から愛するための強いエネルギーが込められています。

書道家 優さん インタビュー01
01

小さな田舎町で育まれた、書の確かな礎

書道の世界には、かなり幼い頃から触れられていたのでしょうか。

地元の小さな町に習字教室があって、小学二年生の八歳から通い始めました。田舎ののんびりした教室でしたが、書くことが純粋に楽しくて、地元の高校に通いながら高校三年生まで十年ほど続けたんです。十八歳のときには、高校生くらいまでの子供たちに教えることができる、日本習字の高等師範という資格をいただきました。今振り返れば、その気になればいつでも自分の教室を開ける状態だったんですよね。でも、当時はまだ若かったですし、現実問題として書道だけで十分に生活していけるのかという不安がどうしてもありました。そのため、書道はいったん自分のなかの大切な思い出として引き出しにしまい、もう一つ興味を持っていた医療や福祉の道へ進むことを決めたんです。それが、私の長い旅路の始まりでした。

02

誰かのために身を粉にした、十一年間の看護師時代

その後は、准看護師として長く医療の現場で働かれていたのでしょうか。

はい、二十歳から三十一歳までの十一年間、准看護師として働いていました。昔から人の小さな変化によく気づく性質で、職場でも周りが少し身構えてしまうような、個性の強い患者さんの担当を積極的に引き受けていたんです。大声を上げてしまう方でも毎日顔を合わせてじっくりお話しすると、少しずつ心を開いて血圧を測らせてくれるようになりました。当時はそれが自分の喜びだと思っていましたが、今思えば相手の感情に深く入り込みすぎて、自分のことを完全に置き去りにしていたんですよね。誰かのために先回りして尽くし、自分がどれだけ無理をしているかにも気づかないまま、ただ一生懸命に突っ走っていました。人手不足の過酷な職場環境も重なり、心身のエネルギーを限界まで使い果たすような日々が長く続いていたんです。

書道家 優さん インタビュー02
いい加減に、自分を世界一幸せにしてあげよう。
書道家 優さん インタビュー03
03

すべてが重なった人生の嵐と、内側から湧き出た叫び

医療現場の激務に加え、プライベートでも非常に大きな苦難が重なったとお聞きしました。

コロナ禍の真っただ中で命を守るために必死だった時期と、二年半におよぶ離婚裁判の時期が完全に重なってしまったんです。一歳だった子供の親権をめぐって家族を巻き込んだ激しい対立が起き、一週間ほど子供と離れ離れになって生きた心地がしない時間も経験しました。警察や弁護士の力を借りてなんとか子供を取り戻しましたが、その精神的な負担は言葉にできないほど重かったです。それまでは理不尽なことがあっても笑ってやり過ごすいい子ちゃんでしたが、そのとき初めて、自分自身の内側からふざけるなという猛烈な叫びが湧き上がってきました。他人のために生きるのはもう終わりにして、いい加減に自分を世界一幸せにしてあげようと、人生のどん底でようやく決意することができたんです。

04

自分自身を奮い立たせる、始まりの書『逆境』

その壮絶な人生の転機を経て、どのようにして再び筆を握るようになったのですか。

離婚をきっかけに徹底的な自己分析を重ねた末、やはり自分には書くことしかないと気がついたんです。看護師時代にも、同僚からその綺麗な字を生かした仕事をすればいいのにと言われていたことを思い出しました。そこで書道のはなみち「書道で生きていくための学校」を受講し、しっかりと学んだ上で看護師を退職して書道家一本になりました。そうして起業して二ヶ月目、自分のなかにあった感情のすべてをぶつけるようにして書いたのが、私の代表作である『逆境』でした。この作品は、誰かに向けたものではなく、嫌なものは嫌だと断れ、もっと自分を大事にしろという、自分自身に向けた最高のエールなんです。線の一本一本にこれまでの経験や葛藤がすべて乗っているからこそ、普段アートに興味がない方でも、見た瞬間に圧倒されたと言って足を止めてくださるのだと思っています。

書道作品『逆境』
逆境は、逃げ場じゃない。私を愛するための、たったひとつの言葉だった。
書道作品『戦闘』
05

外からの批判をエネルギーに変えた『戦闘』と『超越』

活動を始めてからも、順風満帆な時期ばかりではなかったそうですね。

一年目の秋頃、同業者の方からSNSのダイレクトメッセージで、私の作品に対する大変厳しい長文の批判が届いたんです。活動を続けられるか迷うほど落ち込みましたが、一週間ほど経ったとき、また私の中から強いエネルギーが湧いてきました。批判に屈するのではなく、自分の表現を信じて突き進んでやる、すべてを超えてみせるという決意が固まったんです。その瞬間の熱量で一気に書き上げたのが、『戦闘』と『超越』という二つの作品でした。最初に書いた『逆境』と、この二つの作品を加えた三部作は、私の人生の大きな節目そのものです。どれだけ技術的にうまく書けたとしても、あの極限状態のエネルギーを超えるものは二度と書けないため、この先もずっと手元に残しておくと決めています。

06

点が線につながり、世界へ広がった奇跡の出会い

これまでの活動のなかで、最も大きな転機となった出来事を教えてください。

地元のお祭りで書道パフォーマンスをしたときのことです。当時はまだ知名度が全くなく、用意したブースの前をほとんどの人が素通りしていきました。場所代を払って誰も見てくれない状況に、最終日はやらなきゃよかったと心の中でひどく落ち込んでいたんです。でも、マイクを持って人生このままでいいんですかと語りかけながら必死に書き続ける私を、一人の男性がずっと立ち止まって見てくれていました。その方こそが、ANAの函館支店長さんだったんです。その出会いがきっかけとなり、翌年には函館空港で一ヶ月間にわたる個展を開催することができました。そこから点が線につながるように、新聞やラジオだけでなく、渋谷センター街ビジョンでのCM放映、横浜駅デジタルパネルでの掲載、さらにはパリのアート博での展示や紀伊國屋書店札幌本店での作品展など、一気に世界が広がっていきました。

書道家 優さん インタビュー06
点が線につながるように、世界が一気に広がっていきました。
書道家 優さん インタビュー07
07

お金への不安を手放し、大きな器で受け取る循環の思想

作品を高額に設定し、それを社会へ還元していくという独自の視点はどこから生まれたのでしょうか。

二十代の頃は将来が怖くて過剰に貯金をしていましたが、結局トラブルですべて失う経験をしました。その後、一時的に収入が落ち込んで生活費に困った時期を経て、お金はただ溜め込むものではなく、巡らせるエネルギーなんだと気づいたんです。手軽に持っていただけるキーホルダーなどのグッズ展開から、覚悟を持って向き合う額装や色紙の作品まで幅広く届けていますが、自分の生み出す価値を安売りしないと決めています。遠慮して受け取る器を小さくするのではなく、ありがたく受け取って、今度はそれを他の表現者の作品購入や、次の活動への投資としてどんどん流していく。一児の母としてシングルマザーで子供を育てながら、その心地よい循環の輪をまずは自分自身が先頭に立って大きく広げていきたいと考えています。

Message

まだ、途中です

最後に、これからの活動にかける純粋な想いを聞かせてください。

私はこの書道というアートを通じて、誰もが驚くような最高峰の価値を証明したいと思っています。自分がどん底から這い上がって生み出した『逆境』『戦闘』『超越』の三部作を、いつか誰もが認める最高の舞台で輝かせることが目標です。その挑戦で得た大きなお金を使って、本当に助けを必要としている子供たちの施設などにたくさんの寄付を届けたいんです。どれだけ深い闇のなかにいても、必ず温かい助けは来ます。私が一歩を踏み出して生きている姿そのものが、誰かにとっての光になれば嬉しいです。いつかその最高の景色を、応援してくださる皆さんと一緒に見られる日まで、私はこの筆を持ち、前を向いて歩み続けます

書道家 優(池田優子)さん

Profile

書道家 優(池田優子)

YU / Calligrapher

プロフィール

北海道函館市出身。
書道テーマ「逆境」にて活動中。
1児の母。
頭に降りてきた言葉やイメージを書き、そのまま作品にしています。
自分の自然に来るインスピレーションを大切にしたいのでオーダー作品は受け付けておりません

出展歴・授賞歴
  • ArtShoppingParis 作品「薔薇」出展
  • 美麗革新芸術最高金賞授賞
  • アート博inパリ日本藝術名誉大賞推薦授賞
  • 渋谷センター街ビジョン限定単独CM
    (12月23日〜1週間、1時間に1、2回放映)
  • 横浜駅、デジタルパネルに作品掲載
    (2025年、3月31日〜4月6日まで)
  • アート博inパリ、色紙作品展示と販売
    (2025年、8月15日〜8月17日)
  • 台湾メディア「風伝媒」記事掲載
  • サンクチュアリ出版社地下にてトークイベント
  • 紀伊國屋書店、札幌本店ギャラリー
    作品展示「真髄」
    ブックカバー販売、グッズ販売

Share this story

Afterword

八歳から書道を学び、准看護師として十一年間医療現場に立った池田優子さん。過酷な離婚裁判と人生のどん底を経て、筆を握り直し『逆境』『戦闘』『超越』の三部作を生み出した。函館空港の個展から渋谷ビジョン、パリのアート博へ——書道家・優さんが、自分を愛するための言葉として刻み続ける軌跡です。

筆者画像

秋田 信明 Nobuaki Akita

Wakku Inc. CEO|wakkul

SI・Web業界での28年の実務経験を経て、現在はセルフプロモーションサービス wakkul(ワックル) の企画・設計・運営を手がける。モデル・職人・料理人・エンジニアなど、あらゆる分野で技と物語を持つ人が自分らしく世界へ発信できる場づくりをテーマに、戦略と技術の両面から取り組んでいる。

Profile

書道家 優さんの
プロフィールを見る

書道家・優(池田優子)さんの活動情報はこちらから。

プロフィールページへ

VOICES OF THE DRIVEN

挑み続ける人たちの情熱のストーリー

栢沼 良行 栢沼 良行

Interview — #01

物語を知って飲む一杯は、意味が全く違う。

栢沼 良行

焙煎士 / カフェテナンゴ

小澤憲子・照美 小澤憲子・照美

Interview — #02

ふわっ、しっとり。それが、私たちの全て。

小澤憲子・照美

パティシエ / ラ・ファミーユ

久保 智花 久保 智花

Interview — #03

筆を捨て、爪楊枝を選んだ。

久保 智花

画家

Yumi Yumi

Interview — #04

やってみなよ、変わるから。

Yumi

フォトグラファー

市川 リヒロ 市川 リヒロ

Interview — #05

やってみてダメだったら、 その時やめればいい。

市川 リヒロ

ツアーコンダクター

佐藤 卓 佐藤 卓

Interview — #06

実際に一歩踏み出してみると、本当に景色が変わる。

佐藤 卓

売上設計士

山田ジロウ 山田ジロウ

Interview — #07

謙虚さは魔除け

山田ジロウ

Webマーケッター

木村 周平 木村 周平

Interview — #08

写真は感性じゃなく、見せる技術

木村 周平

フォトグラファー

志水 直樹 志水 直樹

Interview — #09

おもろい方へ行けば、世界は味方になる。

志水 直樹

GPSランナー

MASHUU MASHUU

Interview — #10

誰かの日常を健やかに保つ「解決策」でありたい

MASHUU

ヒバの妖精

踊るミエ 踊るミエ

Interview — #11

ステップひとつで、世界は塗り替えられる

踊るミエ

ゴーゴーガール

西尾 葉子 西尾 葉子

Interview — #12

一人じゃ何も作れないから

西尾 葉子

世界唎酒師

山田よう子 山田よう子

Interview — #13

自分のためには1ミリも頑張れない

山田よう子

アームレスリング世界チャンピオン

本家 豊大 本家 豊大

Interview — #14

利他的であるほど、人は居場所を持てる

本家 豊大

コミュニティディレクター

野村 大輔 野村 大輔

Interview — #15

お笑いを辞めたんじゃない。人を元気にする方法が変わっただけ。

野村 大輔

鍼灸師/元芸人

山川千穂子 山川千穂子

Interview — #16

「ありがとう」を、すべて音に変えて。

山川千穂子

作詞家/ボイストレーナー

中野サガット 中野サガット

Interview — #17

「悩んでいるくらいならやめておけ」

中野サガット

ストリートファイターⅡ公式全国大会優勝

うさみ みずほ うさみ みずほ

Interview — #18

『若いから、女だから』って言葉に折れるのはやめた。

うさみ みずほ

俳優

登丸 崇志 登丸 崇志

Interview — #19

言葉はいらない。映像と音だけで、世界を震わせる。

登丸 崇志

映像制作

優 優

Interview — #20

逆境は、逃げ場じゃない。私を愛するための、たったひとつの言葉だった。

書道家

栢沼 良行 栢沼 良行

Interview — #01

物語を知って飲む一杯は、意味が全く違う。

栢沼 良行

焙煎士 / カフェテナンゴ

小澤憲子・照美 小澤憲子・照美

Interview — #02

ふわっ、しっとり。それが、私たちの全て。

小澤憲子・照美

パティシエ / ラ・ファミーユ

久保 智花 久保 智花

Interview — #03

筆を捨て、爪楊枝を選んだ。

久保 智花

画家

Yumi Yumi

Interview — #04

やってみなよ、変わるから。

Yumi

フォトグラファー

市川 リヒロ 市川 リヒロ

Interview — #05

やってみてダメだったら、 その時やめればいい。

市川 リヒロ

ツアーコンダクター

佐藤 卓 佐藤 卓

Interview — #06

実際に一歩踏み出してみると、本当に景色が変わる。

佐藤 卓

売上設計士

山田ジロウ 山田ジロウ

Interview — #07

謙虚さは魔除け

山田ジロウ

Webマーケッター

木村 周平 木村 周平

Interview — #08

写真は感性じゃなく、見せる技術

木村 周平

フォトグラファー

志水 直樹 志水 直樹

Interview — #09

おもろい方へ行けば、世界は味方になる。

志水 直樹

GPSランナー

MASHUU MASHUU

Interview — #10

誰かの日常を健やかに保つ「解決策」でありたい

MASHUU

ヒバの妖精

踊るミエ 踊るミエ

Interview — #11

ステップひとつで、世界は塗り替えられる

踊るミエ

ゴーゴーガール

西尾 葉子 西尾 葉子

Interview — #12

一人じゃ何も作れないから

西尾 葉子

世界唎酒師

山田よう子 山田よう子

Interview — #13

自分のためには1ミリも頑張れない

山田よう子

アームレスリング世界チャンピオン

本家 豊大 本家 豊大

Interview — #14

利他的であるほど、人は居場所を持てる

本家 豊大

コミュニティディレクター

野村 大輔 野村 大輔

Interview — #15

お笑いを辞めたんじゃない。人を元気にする方法が変わっただけ。

野村 大輔

鍼灸師/元芸人

山川千穂子 山川千穂子

Interview — #16

「ありがとう」を、すべて音に変えて。

山川千穂子

作詞家/ボイストレーナー

中野サガット 中野サガット

Interview — #17

「悩んでいるくらいならやめておけ」

中野サガット

ストリートファイターⅡ公式全国大会優勝

うさみ みずほ うさみ みずほ

Interview — #18

『若いから、女だから』って言葉に折れるのはやめた。

うさみ みずほ

俳優

登丸 崇志 登丸 崇志

Interview — #19

言葉はいらない。映像と音だけで、世界を震わせる。

登丸 崇志

映像制作

優 優

Interview — #20

逆境は、逃げ場じゃない。私を愛するための、たったひとつの言葉だった。

書道家