小さな田舎町で育まれた、書の確かな礎
地元の小さな町に習字教室があって、小学二年生の八歳から通い始めました。田舎ののんびりした教室でしたが、書くことが純粋に楽しくて、地元の高校に通いながら高校三年生まで十年ほど続けたんです。十八歳のときには、高校生くらいまでの子供たちに教えることができる、日本習字の高等師範という資格をいただきました。今振り返れば、その気になればいつでも自分の教室を開ける状態だったんですよね。でも、当時はまだ若かったですし、現実問題として書道だけで十分に生活していけるのかという不安がどうしてもありました。そのため、書道はいったん自分のなかの大切な思い出として引き出しにしまい、もう一つ興味を持っていた医療や福祉の道へ進むことを決めたんです。それが、私の長い旅路の始まりでした。
