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映像制作 登丸 崇志さん 映像制作 登丸 崇志さん

Interview — #19

言葉はいらない。映像と音だけで、世界を震わせる。僕が「かっこいい」を追い続ける理由。

映像制作 登丸 崇志

Cinematographer — Takashi Tomaru

About this story

映像制作の第一線で15年、登丸 崇志さんは常に「かっこよさ」の筋を通してきた。大手企業のPVから、世界耐久レースのオフィシャルムービー、ビジネスメディアの映像制作、そして今は新型自動車の開発プロジェクトまで。その圧倒的な映像美の根底には、中学時代から30年以上続く狂気的なまでのインプットと、現場で培った叩き上げの執念がありました。

登丸 崇志さん インタビュー01
01

かっこいいを追いかける、一貫した筋

以前はインテリアや服飾の道にいたとお聞きしました。映像の世界へ入ったきっかけを教えてください。

思春期特有の、かっこいいものが好きという単純な動機でしたが、自分の中ではすべて筋が通っていました。高校でバイクに乗るのも、服飾の専門学校へ行ったのも、自分がかっこいいと思うものを自分の手で形にしたかったからです。その後はインテリア雑貨のEC運営に携わって、おそらく当時は日本で一番トイカメラを売っていたんじゃないですかね。楽天やAmazonで1位を取ることもありましたが、そこは先行者利益で売れているだけの世界。お店の数が増えたらただの棒倒しゲームと同じで、お客様は1円でも安ければ他所へ行ってしまう。うちで買う理由がない以上、この業界に居続けても食えなくなるという強い危機感がありました。転職を考えた時、手元に残っていたのは趣味で続けていた写真だけ。ちょうど28歳の時、一眼レフで映画のような映像が撮れる5D Mark IIが発売され、これなら僕の求めるかっこよさが表現できるんじゃないかと思ったんです。技術も人脈もゼロでしたが、背水の陣で映像の世界へ飛び込みました

02

30年間、映画を浴び続けた歳月

登丸さんの映像は独学ですよね。何が土台になっているのでしょうか。

実は中学生の頃から今まで、30年以上も毎日一本は必ず家で映画を流しているんです。きっかけは単純に映画が好きだったからですが、作業中も寝る前もうとうとしながら、ずっと。同じ作品を何度も何度も観ることもありますが、次はどのセリフが来て、どんなシーンが続くか、頭に入っています。こうしたカットのつなぎや音の入れ方といった感覚は、どこかで学んだわけではなく、人生の半分以上をかけて浴び続けてきた映画から自然と染み付いたものかもしれません。だから今、僕が作る映像も、言葉やテロップで説明しすぎるものより、映像そのものの力と音だけで物語を伝えるドキュメンタリー番組のような世界観に惹かれるんだと思います。余計な装飾はいらない。ただ、そこにある本質だけを映し出したいんです。

登丸 崇志さん インタビュー02
余計な装飾はいらない。ただ、そこにある本質だけを映し出したい。
登丸 崇志さん インタビュー03
03

プロとしての洗礼と、ブライダルの現場

最初から、映像一本で食べていけたのですか。

最初は地元のブライダル会社と契約して教わろうとしたのですが、持っていったサンプルを見せたら、うちには君より上手い人はいないから教えられることはないと言われてしまって。じゃあ自分でやるしかないと、そこからは直接式場などへ営業に行き、案件を請け負うようになりました。結婚式は、本当の意味で失敗が許されない一発勝負の現場です。もう一回、なんて絶対に言えない極限状態で、毎週土日は機材を担いでスーツで走り回る。一眼動画という仕組み自体が新しかった時代ですから、当時はカメラマンの間でも知識の差がすごかった。でもそこで何百本と場数を踏み、泥臭く現場をこなした経験が、今の僕の糧になっています。絶対に失敗できないという現場の執念が、プロとしての僕を作ってくれました

04

30歳で選んだ、東京という戦場

地元でも安定していたはずですが、なぜ環境を変えたのですか。

30歳を過ぎた頃、ふと自分の将来を想像したんです。40歳、50歳になった時も同じように重たい機材を持って式場を走り回れるかといったら、それは現実的じゃない。より継続的に、仕事の幅を広げるには企業向けのBtoBをやるしかないと考えました。でも当時の群馬では、まだ映像をビジネスの投資として捉える価値観が浸透していなかった。それなら東京へ行くしかない、と。31歳で上京し、企業案件やドキュメンタリーに関わるようになりました。ある通信制高校のプロジェクトでは、挫折を経験した卒業生を追い、在校生に「ここからでも活躍できるんだ」と希望を与える仕事をしました。自分の映像が誰かの人生の転機に触れる。その手応えを感じたのは、この大きな決断があったからこそだと思います。

登丸 崇志さん インタビュー04
自分の映像が、誰かの人生の転機に触れる。
登丸 崇志さん インタビュー05
05

墜落しないために、もがき続ける

独立して10年以上。今は、どんな手応えを感じていますか。

独立して11期目になりますが、今でも毎日が不安ですよ。来月の予定はわかっても、再来月のカレンダーが真っ白なのを見ると、怖くてたまらなくなる。機材は高いし、常にカメラメーカーにお布施するために生活してるような感覚になることもあります。機材費だけでベンツが買えるくらいは注ぎ込んできましたから。でも、その不安があるからこそ、僕は止まれないんです。人力飛行機と同じで、漕ぐのをやめたら墜落する。だから、あえて過酷な最新の現場に、一カメラマンではなく制作の手伝いとして勉強したりもします。叩き上げですから、格好つけてる暇なんてないんです。

06

映像の枠を超えた、信頼の繋ぎ方

技術や機材以外で、大切にしている信念はありますか。

基本は紹介だけで仕事をしていますが、僕はただ映像を撮るだけではなくて、相手のビジネスがどう成長するかを常に考えています。困っている社長がいれば、解決できる別の人を繋いだり、ビジネスの相談に乗ったりもする。まるでお節介な人のような立ち回りですが、そうやって自分を介して良い縁が回っていった時、ふとした瞬間に映像の相談をいただける関係が理想なんです。今はネットで探せば安く撮れる人はいくらでもいますが、最後は「誰に自分の本質を預けたいか」に尽きる。余計なノイズを削ぎ落として、その人や企業の一番いい顔を映し出す。僕という人間を信頼して預けてもらう以上、そこには絶対に嘘のない、筋の通った表現を提示したいんです。

登丸 崇志さん インタビュー06
人力飛行機と同じで、漕ぐのをやめたら墜落する。
登丸 崇志さん インタビュー07
07

子供たちの未来を、映像で綴る

これからの展望や、新しく挑戦したいことを教えてください。

今は、大手メーカーでキャリアを積んできた親友が立ち上げた、新しい自動車メーカーのプロジェクトに携わっています。1万1000回転まで回るバイクのエンジンを積んだ楽しさを追求した車や、行政向けの自動運転車。そのプロモーションやドキュメンタリーを動かしています。僕が最終的に撮りたいのは、未来に繋がる物語なんです。例えば、この車を使って子供たちが描く「未来の乗り物」を実際に形にし、そのプロセスを映像に収める。これまでライスワークとしてがむしゃらに撮ってきましたが、ようやく社会貢献という形で恩返しができる入り口が見えてきました。映像の世界に飛び込んで15年。これからももがきながら、本物の映像を追い求めていきたいですね。

Message

本物の映像を、追い続ける

最後に、これから映像の世界で挑戦していく方へメッセージをお願いします。

かっこいいを追いかける筋を、自分の中で通し続けること。それだけです。技術も人脈もゼロから始めた僕でも、30年間映画を浴び続け、何百本もの現場を踏んできたから今がある。ネットで安く撮れる人はいくらでもいますが、最後は誰に自分の本質を預けたいかに尽きる。漕ぐのをやめたら墜落する。だからこれからも、もがきながら、本物の映像を追い求めていきます

Film Works

登丸 崇志さんの映像作品

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Afterword

服飾からEC、そして28歳で背水の陣として映像の世界へ。30年以上毎日映画を浴び続け、ブライダル現場で何百本と場数を踏み、31歳で東京へ上京した登丸 崇志さん。独立11期目、今も不安と隣り合わせでありながら、人力飛行機のように漕ぎ続けている。映像を撮るだけでなくビジネスの成長を考え、信頼で繋がる——すべての経験を表現の糧に変え、本物の映像を追い求める。それが彼の進む道です。

筆者画像

秋田 信明 Nobuaki Akita

Wakku Inc. CEO|wakkul

SI・Web業界での28年の実務経験を経て、現在はセルフプロモーションサービス wakkul(ワックル) の企画・設計・運営を手がける。モデル・職人・料理人・エンジニアなど、あらゆる分野で技と物語を持つ人が自分らしく世界へ発信できる場づくりをテーマに、戦略と技術の両面から取り組んでいる。

Profile

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職業:映像制作

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